片思い

俺には小学校からの好きな人がいた。殆ど話したことのない、物静かな女の子。

中学を経ても話しかけることはなく、卒業式で告白しようと誓ったものの、臆病な俺にそんな芸当ができるはずもなく、バラバラの高校へ行った。

あれから4年が経過し、俺は絶望の淵にいた。なんの希望もなく、世界は色を失っていた。路傍の花なんて希望にしては小さすぎた。人の笑顔なんてのは、あまりに儚すぎた。ふと、その好きだった子の顔が思い浮かんだ。これこそが希望だと思い、軽躁状態に切り替わった。Twitterでその子のアカウントを探し、ダイレクトメールを送った。連絡先が欲しいと。

相手の態度は、素っ気なかった。何やら警戒している様子で、なんであなたに連絡先をやらないといけないのか、と。返事が来た喜びで舞い上がり、内容で消沈した。この後は、できるだけ長く会話が続くように毎日メッセージを送っていた。

数日後、唐突に連絡先が送られて来た。どういうわけか、相手は俺のことをなりすましだと思っていたらしい。話し方もタメ口になっていた。

有頂天になり、毎日言葉を交わした。どうやら相手は忙しいらしく、頻度は高くなかった。１日1、2回のやりとりである。それだけでも、満たされた。落ち込んだ気分を、持ち上げる力があった。

ある日の休日、その日は返信が早かった。いつもよりも長く会話が続いた。この機を逃すまいとし、俺は彼女をデートに誘った。なんと相手は快く承諾してくれた。こうして、先のまとまった休みに茶店に行くことを約束した。

それから1ヶ月後、連絡の頻度は週1回程度になっていた。連絡はいつも俺からで、相手は多忙を極めているようだった。週1回の連絡も疎かになり、彼女のTwitterアカウントを見てみると、ブロックされていた。連絡してみても、既読すらつかない。おそらくそちらもブロックされている。分からなかった。彼女は相当俺のことが嫌いだったのだろうか？持ち上げておいて、バッサリ切ったのだろうか？新しい彼氏ができたのだろうか？2つの連絡先を遮断され、俺はどうにもできなくなった。人恋しくなり、金土には友達と、頭痛がするまで呑んだ。昨日は、昼まで起き上がれなかった。やっと起きれたなら、一人でウィスキーを呑んだ。死にたかった。殺して欲しかった。生きる理由は、いとも簡単に、俺の元を離れて行った。

今日は、病院に行った。気分を上げる薬が追加された。これで、頑張れれば、いいな。